臨床血液
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症例報告
全身性アミロイドーシスとして発症したIgM-λ型多発性骨髄腫
日下田 大輔横濱 章彦大崎 洋平田原 研一馬渡 桃子関上 智美小磯 博美斉藤 貴之内海 英貴半田 寛唐沢 正光村上 博和平戸 純子塚本 憲史野島 美久
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2009 年 50 巻 12 号 p. 1711-1714

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抄録

59歳,男性。ネフローゼ症候群,M蛋白血症精査のため入院。入院時,肝臓の著しい腫大,腹水,全身浮腫,四肢のしびれと起立性低血圧を認めた。検査所見では貧血,腎機能障害なく,骨X-Pでは骨粗鬆症はあるが骨破壊像を認めなかった。またIgM-λ型のM蛋白は0.94 g/dl, 一日尿蛋白量は7.93 g/日であった。骨髄穿刺では異形成の少ない成熟した形質細胞を11.2%認め,腎,直腸,骨髄などの生検の結果と合わせ,AL型全身性アミロイドーシスを合併した多発性骨髄腫と診断した。VAD療法を2コース行なったがM蛋白は減少せず,全身状態は徐々に悪化した。第117病日よりbortezomibとdexamethasoneを投与したところM蛋白の急速な低下を認めが,突如無尿となり腎不全,心不全を合併し第132病日に永眠された。全身性アミロイドーシスで発症したIgM型多発性骨髄腫は極めてまれで,治療や予後に関してまとまった報告はなく,今後の症例の蓄積が重要である。

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© 2009 一般社団法人 日本血液学会
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