2009 年 50 巻 1 号 p. 23-28
30歳男性。上腹部痛,黒色便あり,近医で十二指腸潰瘍,肝障害を認め入院となった。第5病日に発熱と上半身の紅斑が出現した。肝生検で巨細胞性肝炎の像であり,ウイルス肝炎を疑い,第20病日よりインターフェロンαを開始された。総ビリルビン22.3 mg/dlまで上昇したが,その後軽減傾向となった。入院3週後に皮疹,発熱は軽快したが,5週後に再度発熱と全身性紅斑が出現,8週後に皮疹は再度軽快した。その後,異型リンパ球出現,リンパ球減少,ガンマグロブリン低値を認め,当科紹介入院となった。当科入院時径1 cmほどの表在リンパ節を多数認めたが,解熱傾向となり,リンパ節腫脹も徐々に縮小していった。病態が薬剤性過敏症症候群(DIHS)に類似していることからヒトヘルペスウイルス(HHV)-6型の抗体価測定を行ったところ,前医で160倍だったHHV-6 IgGは当科で2,560倍に上昇していた。DIHSに類似した臨床経過であったが,本症例では原因となるような薬剤投与歴はなかった。