臨床血液
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症例報告
急性骨髄性白血病に対する地固め療法後に合併したBacillus cereus敗血症とくも膜下出血
川谷 恵里岸川 優紀三小田 周弘桑原 伸夫森 大輔小副川 晃一松石 英城権藤 久司
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2009 年 50 巻 4 号 p. 300-303

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抄録

症例は64歳,男性。急性骨髄性白血病(FAB分類,M7)の寛解期にmitoxantrone/cytosine arabinosideを用いて地固め療法を実施した。地固め療法後14日目に白血球数0/μlとなり,15日目には発熱と心窩部痛を認めた。直ちにcefozopranの投与を開始したが,16日目に心停止状態で発見され,19日目に死亡された。16日目に実施した頭部CT検査にてクモ膜下出血が確認された。また,15日目の血液培養でグラム陽性桿菌が検出され,のちにB. cereusと同定された。剖検にて大脳,小脳,肝,肺にB. cereusのコロニーが多数確認され,肝細胞の壊死も認めた。くも膜下出血部位の血管に動脈瘤や菌塊は確認できなかったが,血管壁の壊死が著明で,くも膜下出血の原因と考えられた。白血病患者の化学療法後に合併するB. cereus敗血症は,くも膜下出血のリスクを有し,急激な経過をたどるため,化学療法後にはB. cereus敗血症を考慮した抗生剤の選択が重要であると考えられた。

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© 2009 一般社団法人 日本血液学会
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