2010 年 51 巻 3 号 p. 207-212
症例は38歳,男性。不明熱精査にて他院を受診しHIV感染症と診断。発熱,右顔面神経麻痺を主訴に当院受診。Gaシンチで右下腹部に集積を認め,腹部CTおよび下部消化管内視鏡検査では上行結腸に腫瘤性病変を認めた。同部位の生険にてBurkittリンパ腫(BL)と診断。HAART開始後より顔面神経麻痺は改善し,CD4が31/μlと著明な低値であったためHAART併用下でdose-adjusted EPOCH療法を開始。同治療2コースで病変は縮小したがdose-intensityを高める目的でhyper-CVAD療法に変更した。計6コースで終了とし現在もCRを維持している。HAART普及後DLBCLの治療成績は飛躍的に向上したのに対しBLは依然として予後不良である。本症例はAIDS関連BLに対してHAART併用下でhyper-CVAD療法が著効した貴重な症例と考えられ若干の文献的考察を加えて報告する。