臨床血液
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臨床研究
関東造血幹細胞移植共同研究グループにおける同種造血幹細胞移植後の生着不全に対する再移植の後方視的検討
萩原 真紀金森 平和酒井 美和森 毅彦中世古 知昭青墳 信之上原 多恵子佐倉 徹吉場 史朗川井 信孝田中 正嗣藤澤 信大和田 千桂子脇田 久横田 朗河村 俊英丸田 壱郎坂巻 壽岡本 真一郎関東造血幹細胞移植共同研究グループ(KSGCT)
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2010 年 51 巻 6 号 p. 390-397

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抄録

同種造血幹細胞移植後の生着不全に対する再移植の有用性について関東造血幹細胞移植共同研究グループで後方視的検討を行った。一次性生着不全45例中21例,二次性生着不全15例中13例に再移植が行われた。初回移植から再移植までの期間は中央値49日(18~1,204日)であった。移植対象疾患は造血器腫瘍28例,再生不良性貧血6例であった。30例(88%)で骨髄非破壊的前処置が選択され,幹細胞ソースには臍帯血が最も多く用いられ,血縁末梢血,非血縁骨髄がこれに続いた。生着は23例(68%)で確認され,全身/全リンパ組織照射を含む前処置で有意に高い生着率が得られた。再移植後の5年生存率は34%であった。再移植後の生存に有利な因子は,初回と再移植の間隔が91日以上,PSが0~1, タクロリムスによるGVHD予防であった。再移植後の主な死因は感染症であった。生着不全に対する再移植の成績は不良であるが,症例の選択と移植法の工夫によって,予後改善が期待できることが示唆された。

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© 2010 一般社団法人 日本血液学会
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