臨床血液
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症例報告
関節リウマチの経過中に発症し,シクロスポリンが奏効した赤芽球低形成を伴う骨髄異形成症候群
辻 隆宏山崎 浩津田 弘之
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2010 年 51 巻 6 号 p. 427-432

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抄録

症例は65歳,女性。輸血依存性の進行性貧血で2009年4月に当科受診となった。患者は,24年前に関節リウマチに罹患し,2年前には貧血の精査の結果,骨髄異形成症候群(不応性貧血)と診断され,当科に通院していた。診断時のHbは5.4 g/dlで網赤血球は9‰であった。蛋白同化ホルモン,ビタミンD3, K2製剤による治療でHbは8.0∼9.0 g/dlを推移していたが,2009年2月より,貧血が進行した。4月には,Hb 6.0 g/dl, 網赤血球数も2‰まで低下し,輸血依存となった。骨髄標本では,芽球の増加はなく,赤芽球低形成(0.4%)であった。関節リウマチは少量のステロイド剤とNSAIDでコントロールされていた。胸腺腫やパルボウイルスB19や薬剤といった,続発性PRCAの原因となる因子の関与も否定的であった。以上から,MDS with erythroid hypoplasiaと診断し,シクロスポリンを開始したところ,貧血の改善を認めた。関節リウマチを合併したMDS with erythroid hypoplasiaは,稀で,本例で3例目である。

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© 2010 一般社団法人 日本血液学会
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