2011 年 52 巻 11 号 p. 1772-1776
症例は61歳男性。統合失調症で通院中であった。2007年11月貧血のため,当院紹介。WBC 8,660/μl, Hb 6.0 g/dl, MCV 114 fl, MCH 38.6 pg, PLT 10.0×104/μl, LDH 1,236 IU/lと大球性貧血,血小板減少があり,過分葉好中球,骨髄芽球,巨大桿状核球,有核赤血球を認めた。骨髄は過形成であった。ビタミンB12と葉酸は低値で,巨赤芽球性貧血と診断,ビタミンB12筋肉注射と葉酸内服を開始した。速やかに貧血,血小板数は回復,白血球数は増加した。FISH法でMajor bcr/abl融合シグナル陽性,染色体核型t(9;22)(q34;q11)であり慢性骨髄性白血病(CML)と診断した。本症例はCMLにビタミンB12・葉酸欠乏が合併したためCMLの病像がマスクされた稀な病態で興味深いと思われた。