臨床血液
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症例報告
同種造血幹細胞移植後に膜性腎症によるネフローゼ症候群を発症した急性リンパ性白血病
相本 瑞樹山根 孝久一居 充森 克仁相本 蘭井上 恵里康 秀男中根 孝彦武岡 康信中前 美佳小坂 さおり寺田 芳樹中前 博久高 起良中尾 隆文大澤 政彦若狭 研一石村 栄治稲葉 雅章日野 雅之
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2011 年 52 巻 7 号 p. 556-562

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抄録

症例は38歳男性。急性リンパ性白血病(第一寛解期)に対して骨髄破壊的非血縁者間骨髄移植を行った。生着確認後,移植後第32病日に上部消化管の急性移植片対宿主病を発症し,第39病日よりステロイド及びmycophenolate mofetil投与を開始した。症状が改善したため,免疫抑制剤を漸減,第421病日に全ての免疫抑制剤を中止した。第491病日にネフローゼ症候群を発症,腎生検にて膜性腎症と診断した。この間,慢性移植片対宿主病を疑わせる症状,臨床検査値異常は認められなかった。第518病日よりステロイドの投与を開始したところ,尿蛋白は著明に改善した。同種造血幹細胞移植後のネフローゼ症候群は非常に稀であり,本症例のように慢性移植片対宿主病を伴わない場合は特発性ネフローゼ症候群との鑑別は困難である。

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© 2011 一般社団法人 日本血液学会
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