臨床血液
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症例報告
赤芽球癆治療中にサイトメガロウイルスと単純ヘルペスウイルスの混合感染による舌炎を発症したGood症候群
小屋 紘子横濱 章彦三浦 あやか星野 匠臣三井 健揮小磯 博美斉藤 貴之内海 英貴半田 寛平戸 純子広村 桂樹唐沢 正光村上 博和塚本 憲史野島 美久
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2011 年 52 巻 8 号 p. 708-712

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抄録

64歳男性。1999年に低γグロブリン血症,胸腺腫よりGood症候群と診断され,γグロブリン補充療法を受けていた。2005年から舌の扁平苔癬を合併し,プレドニゾロン(PSL)で治療中であった。2009年10月から貧血が進行し,骨髄穿刺で赤芽球比率の低下を認め,赤芽球癆と診断された。シクロスポリンとPSLで治療開始後,網赤血球の増加を認めたものの,舌の痛みが増悪し潰瘍性病変が出現した。同部位の生検組織における免疫染色でサイトメガロウイルス(CMV)および単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染が確認された。ガンシクロビル投与により舌の痛みと潰瘍は数週間で改善した。ウイルス性舌炎はHIV陽性者での報告が多いが,造血幹細胞移植や強力な化学療法・免疫抑制療法を受けた高度の免疫不全患者での報告例も増加しており,これらの病態患者における口腔内病変の鑑別診断として重要である。

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© 2011 一般社団法人 日本血液学会
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