産婦人科の進歩
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症例報告
子宮捻転をきたした閉経後の石灰化をともなう巨大子宮筋腫の1例
原田 直哉春田 典子延原 一郎常見 泰平
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ジャーナル 認証あり

2007 年 59 巻 1 号 p. 6-9

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抄録

 非妊娠時における子宮捻転の報告はごくまれである.症例は83歳.腹痛および食欲不振を主訴に近医内科を受診し,巨大な石灰化をともなう腫瘤が下腹部にあると当院に紹介となった.子宮腟部は萎縮するも可視,骨盤腔より臍上にまでおよぶ可動性良好の腫瘤を認め,右側腹部に圧痛を認めた.筋性防御や反跳痛はなかった.MRI(T2強調矢状断)では子宮頸部は描出されているものの子宮体部が不明瞭で,悪性卵巣腫瘍を疑った.入院直後より発熱などの感染徴候を認め,入院後11日目に膿瘍形成も疑ったため緊急開腹術とした.明らかな感染巣を認めず,子宮漿膜下に筋腫を認め,子宮は子宮頸部の腟上部から子宮峡部周辺で子宮長軸を軸として反時計回りに540度捻転していた.両側付属器は著明な鬱血を認めるのみであった.子宮頸部や子宮傍組織が脆弱であったので,腟上部子宮摘出術および両側付属器切除術を行った.術後の経過は良好だった.疾患の認識があればMRIが術前診断に役立つ可能性があると考えられた.〔産婦の進歩59(1):6-9,2007(平成19年2月)〕

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© 2007 近畿産科婦人科学会
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