物理探査
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論説
コンクリート構造物の診断における非破壊検査の適用の現状と今後の展望
鎌田 敏郎内田 慎哉
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2007 年 60 巻 3 号 p. 253-263

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抄録

新設のコンクリート構造物における品質管理や既設構造物の維持管理の過程において,非破壊検査の活用は,合理的かつ効率的な管理計画を立てる上で極めて有効である。コンクリート構造物の安全性を確保し,信頼性を向上させる上で,今後,非破壊検査が果たすべき役割は,ますます大きくなるものと予想される。
「(社)土木学会コンクリート標準示方書[維持管理編]」では,「点検」に関する章(5章から9章まで)において,非破壊検査を併用した点検方法を推奨している。また,「試験および調査の方法」に関する章(10章)では,非破壊検査法の種類と概要が示されている。一方,「(社)日本コンクリート工学協会コンクリート診断技術 [基礎編]」においても,診断に必要となる非破壊検査の概要が述べられている。このように,非破壊検査は,特に,構造物の維持管理段階での用途が増えつつあるのが現状である。
そこで本稿は,まず,コンクリート構造物の診断に用いる非破壊検査について,種々の検査法の定義,特徴,評価指標および測定事例についてまとめた。また,日本国内におけるコンクリート構造物の非破壊検査法に関する規格・基準類も併せて列挙した。続いて,非破壊検査が対象とする評価項目を,「コンクリートの品質(強度)」,「内部欠陥」および「鉄筋探査」とに区分し,それぞれにおける検査方法の概説を加えた。最後に,デジタルカメラやレーザーを用いた検査法や,各種センサを搭載したロボットを紹介するとともに,コンクリートにおける非破壊検査の今後の展望について記述した。

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© 2007 社団法人 物理探査学会
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