日本生気象学会雑誌
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原著
都市内河川の大規模復元による「風の道」の効果に関する気候学的研究
―韓国ソウル市清渓川を事例として―
松本 太一ノ瀬 俊明白木 洋平李 龍太
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2009 年 46 巻 2 号 p. 69-80

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抄録

本研究では,内陸都市における河川復元後の「風の道」による冷却効果について検証することを目的とした.そこで2006年の夏季にソウル市清渓川周辺を対象として,気象観測を行った.主な結果をまとめると以下のようになる.
(1)河道に沿った西よりの風が卓越する時,卓越風が河川に直交する南北の街路に分散して進入していると同時に,気温低下をもたらしていることが明らかとなった.
(2)(1)の気温低下の影響範囲は,1時間の平均気温でみた場合,最大で河川周辺60 m位まで達することが確認された.また,気温低下の程度は,風速1 m/sにつき約0.3~0.4℃と想定された.
以上のことから清渓川復元後の「風の道」による周辺地域への気温低減効果が認められた.よって,内陸都市の中小河川でも卓越風の『風の道』を利用した暑熱環境の改善の可能性があり,都市計画等に有効であることが示唆される.

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© 2009 日本生気象学会
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