食品衛生学雑誌
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低脂肪乳による大規模食中毒事件におけるブドウ球菌エンテロトキシンA遺伝子検出の意義
山下 晃司金澤 祐子上野 美知太田 裕元北口 三知世川上 忠明岩崎 恵子辻澤 恵都子森野 吉晴旅田 一衞
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2003 年 44 巻 4 号 p. 186-190

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抄録

著者らは,雪印乳業食中毒事件に際し,有症者が飲んだ低脂肪乳からPCR法で迅速にブドウ球菌エンテロトキシン(SE) A遺伝子を検出したことから,本事件はSEAによるものと推定した.SEA遺伝子検出の意義を検討するため,市販低脂肪乳などからSE遺伝子の検出を試みるとともに,黄色ブドウ球菌を添加した低脂肪乳中のSEA遺伝子の検出下限を求めた結果,正常な市販低脂肪乳などからSEA遺伝子は通常検出されないことが分かった.本事件のように,菌の培養および毒素の検出が困難な食中毒事件において,PCR法を用いた迅速な原因推定は大きな意義があるものと考えられる.

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© 2003 公益社団法人 日本食品衛生学会
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