食品衛生学雑誌
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PETボトルおよびガラス瓶のリユースに関する検証
林 英一今井 利男新美 宏二
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2011 年 52 巻 2 号 p. 112-116

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抄録

PETボトルおよびガラス瓶のリユースに際し,汚染物質に対するリユースシステムの安全性を検証するため,代理汚染物質5種類を用いて検証試験を行った.代理汚染物質として1,1,1-トリクロロエタン,クロロベンゼン,トルエン,ベンゾフェノンおよびフェニルシクロヘキサンを用い,これらをPETボトルに充てんし50℃で7日間保存後,水洗浄またはさらにアルカリ洗浄したものについて材質試験および溶出試験を行った.その結果,各物質はPETボトル材質中に水洗浄後430~1,400 μg/g,3.5%アルカリ洗浄後も225~925 μg/gが残留した.また,それらのボトルに85℃の純水を充てんし水冷後40℃で7日間保存したところ,内溶液に0.095~7.35 μg/mLが溶出した.清涼飲料水の含有成分であるリモネンもアルカリ洗浄後48 μg/gが残留し,0.16 μg/mLが溶出した.一方,アルカリ洗浄後のガラス瓶からはいずれの物質も全く溶出しなかった.したがって,PETボトルはガラス瓶に比べて,内容物の品質保持や衛生安全性の観点からリユースには適さないと結論された.

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© 2011 公益社団法人 日本食品衛生学会
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