膵臓
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特集:膵癌化学療法の最前線
当施設における膵癌化学放射線療法の検討
伊藤 聡子澤木 明水野 伸匡石川 英樹石井 紀光伯耆 徳之山雄 健次
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2007 年 22 巻 1 号 p. 43-47

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抄録

局所進行膵癌の予後に関与する因子を明らかにするために,当施設において2000年4月から2005年10月までに化学放射線療法(CRT)を施行した遠隔転移を有さない膵癌49例を検討した.検討因子は年齢,性別,ECOGのPerformance status(PS),細胞診,原発部位,腫瘍径,進行度,使用薬剤,照射量,後治療の有無,各種生化学検査,腫瘍マーカーとした.生存期間中央値は12ヶ月であり1年生存率は50.2%,2年生存率は26.7%であった.予後に関与する因子を明らかにするために,生存期間中央値(1年)の2倍以上の生存期間の得られた症例(長期生存群:10例)と2年以下(短期生存群:39例)に分けて比較検討したところ,後治療に有意差を認めた.CRTは一部の局所進行膵癌症例に有効であり,適切な対象を選択することで長期予後が期待できると考えられる.今後は臨床的因子のみならず遺伝子解析などの手法の開発により,最適な患者を選択できるようになることが期待される.

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© 2007 日本膵臓学会
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