膵臓
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特集:長期予後からみた慢性膵炎の治療-内科vs.外科
慢性膵炎に対する膵切除術の適応と長期成績
鈴木 修司森下 慶一小池 伸定原田 信比古鈴木 衛羽生 富士夫
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キーワード: 慢性膵炎, 膵切除, 長期経過
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2009 年 24 巻 1 号 p. 84-88

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抄録

(目的)長期経過からみた慢性膵炎における膵切除術の意義について検討した.(方法)対象は2007年12月までに慢性膵炎にて膵切除術(仮性嚢胞手術や膵管減圧手術例を除く)を施行した19例である.背景因子,手術適応,疼痛除去率,術前後の耐糖能変化,術後合併症について検討した.(成績)成因ではアルコール性16例,特発性3例であった.術式はPPPD 9例,DPPHR 4例,PD 3例,DP 3例であった.術後平均観察期間は6.5年であった.術後の疼痛除去率は100%であった.早期合併症はDPPHRの2例に胃内容うっ滞,PPPDの1例に胆腸吻合部狭窄を呈した.術前からの糖尿病増悪例は5例(26.3%)であった.晩期合併症は1例に胆管炎,2例に慢性膵炎急性増悪で入院を要した.(結論)慢性膵炎に対する膵切除術は早期·晩期合併症も重篤ではなく,疼痛除去に優れ,膵機能面からも推奨される術式であると考えられた.

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© 2009 日本膵臓学会
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