MUC1は癌の浸潤と関連し膵癌では高率に発現する.KL-6はMUC1上に発現するシアル化糖鎖抗原である.我々はIPMNの悪性度診断と膵癌の診断における膵液中KL-6値測定の有用性について検討した.膵液KL-6値(U/ml )は悪性IPMN群(670±894)と膵癌群(26±42)が良性IPMN群(5.2±3.4),コントロール群(4.3±2.3)と比較し有意に高値を示した.膵液KL-6値のcut-off値を20U/ml とすると悪性IPMNに対しては感度,特異度,正診率ともに100%であり,膵癌に対しては感度38%,特異度100%,正診率69%であった.膵液中KL-6値測定は膵液中CA15-3,CA19-9,CEA値測定と比較し悪性IPMNと膵癌の診断に優れていた.膵液中KL-6値測定はIPMNの悪性度診断と膵癌の診断に有用である可能性が示された.