膵臓
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原著
IPMNの悪性度診断と膵癌の診断における膵液中KL-6値測定の臨床的有用性
伊藤 英人中原 生哉葭内 史朗木村 宗士大原 行雄金戸 宏行遠藤 高夫細川 雅代篠村 恭久
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キーワード: KL-6, 膵液, MUC1, IPMN, 膵癌
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2010 年 25 巻 2 号 p. 105-108

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抄録

MUC1は癌の浸潤と関連し膵癌では高率に発現する.KL-6はMUC1上に発現するシアル化糖鎖抗原である.我々はIPMNの悪性度診断と膵癌の診断における膵液中KL-6値測定の有用性について検討した.膵液KL-6値(U/ml )は悪性IPMN群(670±894)と膵癌群(26±42)が良性IPMN群(5.2±3.4),コントロール群(4.3±2.3)と比較し有意に高値を示した.膵液KL-6値のcut-off値を20U/ml とすると悪性IPMNに対しては感度,特異度,正診率ともに100%であり,膵癌に対しては感度38%,特異度100%,正診率69%であった.膵液中KL-6値測定は膵液中CA15-3,CA19-9,CEA値測定と比較し悪性IPMNと膵癌の診断に優れていた.膵液中KL-6値測定はIPMNの悪性度診断と膵癌の診断に有用である可能性が示された.

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© 2010 日本膵臓学会
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