農業気象
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葉の水分量の計測に有効な分光反射特性
青木 正敏矢吹 万寿戸塚 績
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1988 年 44 巻 2 号 p. 111-117

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抄録

サンゴジュ, キョウチクトウおよびクスノキの葉の水分量の変化に伴う400~2300nmの分光反射率の変化を夏期(8月)と冬期(2月)について調べた。相関分析の結果, 15の波長における分光反射率の組合わせで生ずる240種類の分光反射特性のうち, γ1650/γ1430(ここで, γ1650およびγ1430はそれぞれ1650nmおよび1430nmにおける分光反射率)という比反射率が葉の単位面積当りの水分量(LWC, mgH2O・cm-2)と最も相関が高く, しかも相関係数の植物種間差が最も少なかった。さらに, この比反射率では夏期と冬期の回帰直線の差異が少なかった。夏期における, 3植物種の葉に対する (標本数, n=90) 回帰直線はLWC=20.9(γ1650/γ1430)-22.8であり, 相関係数は0.97であった。この回帰直線によって葉の水分量を推定する際の標準推定誤差は1.0mgH2O・cm-2であり, この値は, すべての測定葉の平均水分量の約5%に相当した。葉の水分量の遠隔計測にこの分光反射特性を利用できると考えられる。

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© 日本農業気象学会
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