1987 年 36 巻 3 号 p. 174-178
イオンクロマトグラフィー(IC)による河川水及び水道水のppbレベルのリチウムの定量法を検討した.すなわち,ICのアルカリ金属測定システム(陽イオンファイバーサプレッサーシステム,CFS使用)のバックグラウンド値を低下させるために,高純度窒素(>99.9%)をサンプル導入系,再生液ラインに加圧して送液し安定した流量を得ると共に,大気との接触を極力避け,二酸化炭素による妨害を除いた.その結果,1μS/cmの感度においても長時間にわたって安定な基線が確保できた.4ppbのリチウムに対して,約40万倍量のナトリウムの共存まで妨害は認められなかった.試料の前処理を含めた分析時間は約15分で,20ppbレベルにおける繰り返し精度は,相対標準偏差で4.4%であった.