茶業研究報告
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クロロフィル含量からみた緑茶の品質
和田 光正中田 典男本荘 吉男家弓 実行岡田 文雄
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1988 年 1988 巻 68 号 p. 22-32

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抄録

暖地で生産される緑茶について,色沢が劣るとされる原因とその改善策を調査した結果,次のことが明らかとなった。
1)色沢の良好な被覆茶や鮮緑色の茶は,クロロフィルaの含量が多く,黒緑色系や黄褐色系の茶には少なかった。
2)茶芽の摘採回数,整枝の位置及び施肥量と,クロロフィル含量並びに色沢評点との関係では,摘採回数の影響は少なく,整枝の深さと窒素施用量の多少による影響が大きかった。特に夏茶では窒素25kg/10aの施用区の色沢が最も劣った。
3)摘芽の葉色別クロロフィル含量は,緑色系品種に多く,黄緑色系品種には少ない傾向が見られ,色沢の評点も緑色系に比べて黄緑色系品種は一般的に劣った。
4)製造工程中の色沢低下の原因として,蒸熱時間が長過ぎること,粗揉操作の温度・風量の不調和があげられる。蒸熱時間は40~50秒以内,粗揉操作は吹込み風量を多くし,温度は低くしたほうが色沢は良好であった。

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