日本畜産学会報
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めん羊の血漿中カルシウム,無機リンおよびマグネシウム濃度に対するノルアドレナリン静脈内注入の影響
寺島 福秋水嶋 譲山岡 理恵伊藤 宏
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1983 年 54 巻 1 号 p. 52-59

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抄録

カルシウム含量の異なる飼料(風乾物当りのCa含量が0.59%または0.18%)を摂取しているめん羊の静脈内にノルアドレナリン(1.5μg/kg体重/分)を2時間注入し,注入開始後から6時間にわたり血漿中Ca,無機PおよびMg濃度および尿中排泄量を測定し,ノルアドレナリン投与の影響を検討した.血漿中Ca,無機PおよびMg濃度は,いずれもノルアドレナリン注入によって有意に低下した.CaおよびMg濃度は注入開始の2時間後,無機Pは4時間後に最も低い値を示し,それぞれ注入前の値の約85,80および72%であった.飼料中Ca含量の違いは,このノルアドレナリンの効果に影響を与えなかった.血漿中遊離脂肪酸濃度は,注入開始1時間後に約6倍,グルコースは2時間後に約3倍に増加した.尿中Ca排泄量はノルアドレナリン注入によって僅かに増加したが,無機PおよびMg排泄量はその影響を受けなかった.ノルアドレナリン注入による血漿Ca,無機PおよびMg濃度の低下は,これら無機物の尿中排泄量の増加によるものでなく,脂肪およびグリコーゲン分解に伴って起ることが示された.

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