日本畜産学会報
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受精卵移植を利用した肉用牛育種計画
III. と体形質を重視した育種法の検討
田中 弘敬古川 力建部 晃
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1984 年 55 巻 10 号 p. 716-721

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抄録

I報で示した受精卵移植を利用した中核育種集団における肉用牛育種計画に関連して,と体形質を重視した育種法を検討するため,個体自身および兄弟牛のほか,母牛,姉妹牛,超音波測定による自身の記録を組み合わせた6種の選抜指数法について,発育形質とと体形質間の相対重要度を変え,独立淘汰水準及び慣行法と比較した.その際遺伝率については発育形質を0.5,と体形質を0.4または0.6,両形質の遺伝相関を-0.2または-0.4と設定した.総じて選抜指数法の効果は顕著で,と体形質の遺伝的改良量を独立淘汰水準以上に高め得る結果を得た.選抜指数に取り入れる情報の効果については,生体での超音波測定がと体形質の遺伝的改良量を著しく高めるが,発育形質については効果は認められなかった.母牛をと殺して取り入れると体形質の情報はと体形質の遺伝的改良量をかなり高めるが,発育形質については負の効果が認められた.姉妹牛をと殺しての情報は,と体形質の改良については若干の効果があるものの,選抜率が下がるため発育形質の改良にとっては著しく不利であった.したがって発育形質については自身の記録,と体形質については生体での超音波測定に兄弟牛のと体情報を加える方法か,これに更に母牛のと体情報を加える方法が推奨される.

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