日本畜産学会報
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牛群検定データに基く乳用種雄牛評価の可能性
和田 康彦建部 晃
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1986 年 57 巻 2 号 p. 97-102

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抄録

わが国で牛群検定データに基き乳用種雄牛の評価を行なう可能性の検討の一環として,乳用牛群改良推進事業のデータを用い,娘牛の記録が500以上ある種雄牛について「反復BLUP法」を適用して種雄牛評価値,リピータビリティなどを算出した.データはあらかじめ地域,分娩時月齢および分娩月で補正し,モデルには牛群•年次の効果,種雄牛の誕生年に基く年齢グループ効果,年齢グループ内種雄牛効果の3要因を含めた.初産データセット,全産次データセットともに3回程度の反復で収束した.推定された分散比から換算した遺伝率は初産データで乳量0.42,乳脂量0.34,全産次データで乳量0.26,乳脂量0.22であった.種雄牛の年齢別グルーブの効果の推定値には一定の傾向が必ずしも認 められなかった.初産データと全産次データから推定した種雄牛評価値間の順位相関は同一形質でともに0,93と高く,乳量と乳脂量の間では0.60,0.54であった.乳量および乳脂量の種雄牛評価値と1種雄牛当りの記録数との間の順位相関は低い負の値かゼロに近い値であった.以上の結果から,牛群データを用いた「反復BLUP法」による乳用種雌牛評価が可能であると推察されるが,今後,分子血縁係数行列を考慮するなどの2,3の点について,より詳細な検討が必要であろう.

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