日本畜産学会報
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貯蔵粗飼料蛋白質の第一胃内分解率と化学組成の関係
藤田 裕松岡 栄高橋 潤一熊瀬 登
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1991 年 62 巻 10 号 p. 947-954

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抄録

オーチャードグラス主体1番草から調製した14組の乾草とサイレージにっいて第一胃内における蛋白質分解率を測定し,一般化学組成との関係を根関および重回帰分析により解析するとともに,化学組成による蛋白質分解率の予測が可能かどうかにっいて検討した.
メン羊を用いたin situナイロンバッグ法によるdg価(可消化乾物の90%が消失する時点の粗蛋白質消失率から推計)は,乾草,サイレ一ジともに繊維性成分含量との相関が高く,dg倒に対して最も高く有意な単純相関をもっ化学成分は,乾草では糧繊維(r=0.927),サイレージではNDF(r=-0.939)であった.
重回帰分析の結果,dg価の化学組成による線形予測の精度は,繊維成分単独よりも,乾草では粗脂肪,サイレージではNPNを独立変数として加えることにより改善された.上記の各2成分(乾草:粗繊維と粗脂肪,サイレージ:NDFとNPN)を独立変数とするdg価の線形予測式の決定係数は乾草では0.908,サイレージでは0.928であり,これらの化学成分含量からdg価の予測が可能なことが示唆された.

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