日本畜産学会報
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赤池のベイズ型情報量規準を用いた種雄牛評価モデルにおける母数効果の選択
和田 康彦建部 晃柏木 宣久阿部 猛夫
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1993 年 64 巻 7 号 p. 678-685

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抄録

赤池のベイズ型情報量規準(ABIC)を用いた種雄牛評価モデルにおける母数効果の選択手法を提案し,この手法を,1978年から1982年までの産肉性調査事業により収集されたデータの内,黒毛和種去勢牛7288頭の現場後代検定成績に適用した.分析した形質は,日齢体重,日齢枝肉量,枝肉歩留,脂肪交雑,枝肉等級,枝肉単価であった.母数効果としては,種雄牛生産県,子牛生産年,子牛生産県,肥育県,枝肉市場,屠殺日齢区分を考慮した.母数効果の組合せを変えた15種の種雄牛モデルについてABICを算出した結果,枝肉単価以外の5形質では{子牛生産年}-{枝肉市場}-{屠殺日齢区分}をひとつの母数効果として扱ったモヂルが,枝肉単価では{子牛生産年}-{肥育県}-{屠殺日齢区分}をひとつの毋数効果として扱ったモデルが,それぞれ最適モデルとして選択された.ただし枝肉南場は肥育県と強く交絡していた.また,種雄牛生産県および子牛生産県は最適モデルから除外された.これらの結果により,わが国における黒毛和種の種雄牛評価おいては,それぞれの母数効果の間の交絡を避けるためにいくつかの効果をいくつかの母数効果として取り扱った方が有効であることが明かとなった.また現状では枝肉市場と肥育県が交絡しているために肥育時の環境効果と屠殺時の環境効果をひとつのモデルで周時に取り上げることができないので,将来的には肥育県という形ではなくて肥育方法の違いを直接に考慮すべきことが示唆された.

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