日本畜産学会報
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ブロイラー雌の腹腔内脂肪蓄積に対する飼料中のカロリー:タンパク比の影響
本薗 幸広波多野 和広菅原 徳夫石橋 晃
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1998 年 69 巻 7 号 p. 666-673

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抄録

3から8週齢のブロイラーの腹腔内脂肪の蓄積に及ぼす飼料中のカロリー:タンパク(C:P)の比の影響を調べた.3週齢の雌雛アーバーエーカー1.000羽を200羽ずつ,5区にわけた.試験飼料はトウモロコシ,マイロ,大豆粕,魚粉を主体としたマッシュ飼料を用いた.代謝エネルギー(ME)含量は3,200kcal/kgに固定し,飼料中の粗タンパク質(CP)を16.3,18.1,20.6%とし,C:P比を196,177,155の3段階に設定した群とMEの影響を調べるためにC:P比を155に固定し,MEを3,100と3,007kcal/kgの2レベルを設定した.計5種類の試験飼料のタンパク質含量とME含量は,16.3% 3,200kcal/kg, 18.1%3,200kcal/kg, 20.6%3,200kcal/kg, 20.0%3,100kcal/kg, 19.4%3,007kcal/kgとし,腹腔内脂肪の蓄積が高い3から8週齢の5週間給与した.その結果,増体重は各試験区間に差はなかった.飼料要求率は飼料中のC:P比が196の区とC:P比が155でMEが3,100kcal/kgと3,007kcal/kgの区で劣った.8週齢の腹腔内脂肪率は飼料中のC:P比が低くなると低下する傾向を示し,155の区では他の区よりも低かった.さらに155の区の中では,MEが低い区が腹腔内脂肪率が低くなる傾向がみられた.また,3から8週齢の期間におけるCP摂取量と,8週齢の腹腔内脂肪率との間には負の相関がみられた.8週齢の屠体率は飼料中のC:P比が低い区(155)が高い傾向であり,特にCP20.6%,ME3,200kcal/kgの区では有意に高かった.以上の結果から,飼料中のC:P比を低くすると,腹腔内脂肪率は低下し,屠体率は高くなる可能性が示唆された.但し,飼料中のC:P比を低く設定する場合,飼料中のME含量を低くすると腹腔内脂肪率はより低下する傾向にあるが,発育成績も劣った.したがって給与する発育ステージごとに適したC:P比を選ぶ必要のあることが認められた.

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