薬物動態
Print ISSN : 0916-1139
塩酸ラモセトロンの体内動態(第2報):14C-塩酸ラモセトロン経口投与後の吸収,分布および排泄
中村 英次今崎 一竹重 哲男三浦 裕也渡辺 隆樋口 三朗
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1995 年 10 巻 6 号 p. 808-818

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抄録

ラットに 14C-塩酸ラモセトロンを 1mg/kg 経口投与したときの吸収,分布および排泄について検討し,以下の結果を得た.
1.血液中放射能濃度は投与後15分に最高値に達し,以後二相性を示して低下した.消失相の半減期は 2.1時間であった.血漿中放射能濃度は血液中濃度よりも 1.2~1.5倍高かった.血漿中未変化体濃度は投与後15分に最高値に達し,以後 0.85時間の半減期で低下した.血漿中放射能濃度に占める未変化体の割合は 1.4~9.9%であった.
2.14C-塩酸ラモセトロンの吸収率は十二指腸でもっとも高く,ついで空腸,回腸,結腸の順であり,胃からはほとんど吸収されなかった.
3.組織内放射能濃度は大部分の組織で投与後30分に最高値を示した.放射能濃度は肝臓でもっとも高く,ついで小腸,腎臓,胃,大腸,肺の順に高く,脳でもっとも低かった.放射能の消失は速やかで,投与後24時間の濃度は大部分の組織で最高値の2%以下であった.
4.投与後72時間までの尿および糞中放射能排泄率は投与量のそれぞれ 23.1% および 75.0% であった.投与後72時間までの胆汁および尿中放射能排泄率は投与量のそれぞれ 71.1% および 26.3% であり,経口吸収はほぼ完全であることが示唆された.

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