日本薬理学雑誌
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Terodiline hydrochlorideの摘出膀胱筋における作用
阿部 充生小野 靖彦山崎 芳伸氏家 新生池田 滋
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1987 年 90 巻 1 号 p. 33-40

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抄録

ウサギおよびモルモットの摘出膀胱筋を用いてterodiline,favoxatcおよびoxybutyninの作用を比較検討した.terodilineはウサギ摘出膀胱筋標本におけるcarbacholの用量反応曲線を10-6Mで右方に平行移動し,3×10-6M以上ではその最大収縮も抑制した.favoxateは10-5M以上でのみ最大収縮を抑制した.oxybutyninは10-8Mより用量反応曲線を右方へ移動させたが最大収縮には影響しなかった.terodilineはウサギ摘出膀胱筋標本のCa収縮を用量依存的に抑制した.ウサギ摘出膀胱筋の経壁電気刺激による収縮を3×10-7M atropineは最大で35%,3×10-6M nifedipineは最大で73%抑制したにすぎなかった.しかし,10-7M atropine存在下に10-6M nifedipineを適用すると経壁電気刺激による収縮はほぼ完全に消失した.また,oxybutyninは3×10-7Mで30%抑制したにすぎなかったが,terodilineは10-6Mよりflavoxateは10-5Mより用量依存的に抑制し,各々10-4M,3×10-4Mでは完全に抑制を示した.モルモット摘出膀胱,大脳,心房および回腸ミクロソーム画分への1-quinuclidinyl-[phenyl-4-3H]-benzilateの結合を,terodilineは用量依存的に阻害したが,そのIC50値はatropineの場合と同様各組織間で大差はなかった.terodiline(3×10-6~10-4M)はモルモット膀胱組織片への45Ca取込みを用量依存的に抑制したが,45Ca流出には影響しなかった.10-4M flavoxateは45Ca取込みに対し軽度な抑制を示したにすぎなかった.以上のことより,terodilineは抗ムスカリンとカルシウム拮抗の両作用を有し,flavoxateおよびoxybutyninとは異なる機作により膀胱収縮を抑制するものと思われる.

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