日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
退行期骨粗鬆症における血清ビタミンK濃度の検討
金木 正夫水野 有三細井 孝之井上 聡星野 真二郎秋下 雅弘明渡 陽子堀木 清美中村 哲郎白木 正孝大内 尉義折茂 肇
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1995 年 32 巻 3 号 p. 195-200

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抄録

ビタミンK2が骨粗鬆症の治療に有効であることが確かめられているが, 骨粗鬆症の成因におけるビタミンKの臨床的意義については未だ明らかではない. そこで, 今回, 退行期骨粗鬆症患者における血清ビタミンK濃度を検討した. 60~79歳の女性60人を対象に早朝空腹時に採血し高速液体クロマトグラフィー法によりビタミンKを測定した. 今回測定したビタミンKのうち, 血清中に比較的豊富に存在していたのはビタミンK1とビタミンK2の中では menaquinone-7で, menaquinone-7がビタミンK1より高値を示した. 一方, menaquinone-4, 8は, ほとんどの女性において測定感度以下の低値を示した.
60~79歳の女性60人のうち脊椎圧迫骨折を有する女性24名 (骨折群) と骨折を有さない女性36名 (非骨折群) とを比較すると, 年齢, 身長, 体重, body mass index, 血清 calcium, inorganic phosphate, creatinine, albumin, alkaline phosphatase は両群間で差を認めず, 血清ビタミンK1濃度も骨折群0.837±0.620ng/ml (mean±SD), 非骨折群0.820±0.686ng/mlで有意差を認めなかった. 一方, 血清menaquinone-7濃度は, 骨折群において3.29±3.63ng/mlであり, 非骨折群6.26±5.62ng/mlに比べ統計学的に有意な低下を認めた (p<0.05).
脊椎圧迫骨折を有する高齢女性において, ビタミンK2である menaquinone-7の血清濃度が有意に低下していた. ビタミンKの不足が骨粗鬆症の成因の一部を説明しうる可能性が示唆された.

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