日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
パーキンソン病における骨粗鬆症と骨折
山田 孝子加知 輝彦安藤 一也
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1995 年 32 巻 10 号 p. 637-640

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抄録

パーキンソン病患者 (以下PDと略す) 82例の dual energy X-ray absorptiometry による腰椎骨密度の測定と骨粗鬆症の評価を同年齢の対照群と比較して行った. 骨密度はPD女性では60歳以上で著明に低下し, やせ型や, 重症度の高い例に低下が認められた. PDの男性では60歳以上の年齢による骨密度の低下は明らかではなく, 重症度と骨密度との間に有意な関連はみられなかった. 骨粗鬆症はPDでは男性の21%, 女性の64%に認められ, 特に60歳以上の女性では78%と高率であった. 骨折は無自覚な脊椎圧迫骨折を含め, PDでは男性の29%, 女性の45%に認められた. PD女性の骨密度の低下, 骨粗鬆症の頻度, 骨折の頻度は対照女性群に比べていずれも有意に高率であった. PD女性の骨折例のほとんどは骨粗鬆症を基盤とするもので, 骨粗鬆症には運動障害, 体重減少などの要因の関連も示唆された.

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