症例は70歳男性. 主訴は繰り返す発熱. 平成6年10月末より38℃前後の発熱及び軽度後頭部痛が出現した. 近医でウイルス性髄膜炎と診断され治療を受けたが, その後も数日間隔で同様の発熱が出現し, 頭痛及び神経症状を伴うため平成7年4月, 当科に入院した. 血液検査で炎症所見はなく, 悪性腫瘍, 膠原病も否定された. 髄液検査では単核球優位の細胞数増加と軽度の蛋白増加所見が持続した. 発熱時には髄液中のIL-6, TNF-α, PGE2が高値を示し, 無熱時には神経所見と共に低下~消失した. 高齢発症の Mollaret 髄膜炎は報告が少なく, 発熱時に髄液中サイトカインが高値を示した興味ある1例であった.