日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
超高齢者の食事摂取と年代による変化
武田 純枝野路 宏安広瀬 信義新井 康通山村 憲清水 健一郎本間 聡起海老原 良典高山 美智代
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1998 年 35 巻 7 号 p. 548-558

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抄録

急速に進む高齢化社会をむかえいわゆる超高齢者も急増しておりこの年代の介護が重要な問題となっている. 超高齢者の実態調査の一環として超高齢者の食事摂取状況を検討した. まず1995年百寿者と米寿者の食事摂取状況を同年の対照群 (平成6年度国民栄養調査成績) と比較した. ついで年代変化を見る目的で過去に報告された1981年百寿者との比較も行った.
1995年百寿者と米寿群における栄養摂取量は対照群の60%, 75%と低下した. しかし栄養良好な百寿者の栄養摂取量は米寿群と同等であった. 日常生活活動度が良好な百寿者では栄養摂取量が多く, また認知機能良好な百寿者でも栄養摂取量が多かった. 食品群摂取を百寿者と対照群で比較すると乳類, 菓子砂糖類, 果実類の摂取は対照群と同等であったが, 穀類, 肉類, 魚類, 油脂類は低下していた. 同様の傾向は1981年百寿者でも認められ, 超高齢者では柔らかく甘い食品が好まれることがうかがわれた. 単位体重あたりの栄養摂取量は一般栄養所要量を越えており, 栄養良好な百寿者では不良群に比較して多かった. 1981年と1995年百寿者での栄養量摂取を比較すると1995年群で多かった. 食品群摂取では穀類, 豆類, 卵類, 藻類は1995年群で少なかったが, 他の食品群は多く摂取していた. これは年代による食習慣の違いによるものと考えられた.

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