日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
巨大嚢胞を呈し自然破裂をきたした低分化型膵粘液性嚢胞腺癌の超高齢者例
村井 裕森本 茂人大橋 功岡石 幸也土屋 博岩井 邦充中橋 毅西村 幸晴大黒 正志宮内 英二野島 孝之松本 正幸
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2006 年 43 巻 2 号 p. 246-251

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抄録

98歳女性, 食思不振, 上腹部痛, 嘔吐を主訴として入院. 上腹部に圧痛のある腫瘤を認め, 腹部CTおよびUSにて肝左葉に接する上腹部嚢胞性病変が指摘された. また生化学的検査では血清CEA: 13.6ng/ml, CA19-9: 95U/ml, CA125: 99U/mlと高値を示し, 膵嚢胞腺癌などが疑われた. 入院第10病日に嚥下性肺炎を発症し, 抗生剤を中心とした治療を行うも, 第15病日には成人呼吸促迫症候群に進展し人工呼吸管理が必要となった. 第20病日に上腹部腫瘤の自然消失を認めたが, その前後でバイタルサイン及び採血データの変化は見られなかった. 第31病日に成人呼吸促迫症候群により永眠された. 病理解剖から嚢胞性病変は浸潤性粘液性嚢胞腺癌であった. 本症例は巨大膵粘液性嚢胞腺癌を発症し, 自然破裂をきたした世界最高齢者の報告例と考えられる.

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