1967 年 40 巻 6 号 p. 467-471
本報では, トレーサーとしてS35およびZn65を使用して, ZnOと有機加硫促進剤2-メルカプトベンゾチアゾール (M) との不均一系反応について, キシレン中およびゴム中において検討した.
キシレン中におけるMとZn*Oとの不均一系反応は反応温度によるジンクメルカプトベンゾチアゾール (MZ) 生成速度の差がほとんどなく, 見掛け上ゼロ次反応であった.したがってこの反応の律速段階は反応過程にあるのではなく, 生成MZのZnO粒子表面からの離脱過程にあると推定される.次にキシレン中におけるMとS*との交換反応におよぼすZnOの影響について調べた.この交換反応にZnOまたはMZを少量添加すると, 交換反応速度が著しく増大する.また, MZとS*およびMZとM*との交換反応をキシレン中の不均一系にてそれぞれ行なったが, いずれも容易に交換反応を起こす.これらの事実より, ZnO添加の場合Mと反応してできたMZが元素イオウ (S8環状構造) の開環を促進すると推定した.Mによるゴムの加硫反応においても, 生成MZ量はかなり大きく (収率73%), 生成MZが元素イオウを活性化して加硫反応に大きな寄与をなすことを知った。