日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
ポリエステルタイヤコードの乾熱処理による強力および微細構造変化
タイヤコードの熱変化に関する研究 (第4報)
福原 節雄鈴木 康雄表 重夫天田 和宣
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1971 年 44 巻 9 号 p. 758-763

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抄録

ポリエステルタイヤコードの乾熱処理による強伸度および微細構造変化を研究するために, 市販のタイヤコードおよびフィラメントを緊張または無緊張下で, 1時間70℃~250℃の温度範囲で乾熱処理, 冷却後, 諸物性を測定した. (1) 強力は緊張, 無緊張とも190℃以上の処理で著しく低下した. (2) 中間伸度;無緊張では処理温度とともに増大したが, 緊張処理では変わらなかった. (3) 極限粘度数;70℃から220℃までの処理では変わらなかったが, 250℃処理試料は溶媒に不溶であった. (4) 結晶化度;100℃付近から増加した. (5) 結晶粒子径;温度とともに増加した. (6) X線配列度;緊張処理では温度により変わらないが, 無緊張では温度の上昇とともに低下した. (7) X線小角散乱;a) 長周期は160℃以上の処理温度とともに上昇した.b) 電子密度差は処理温度の上昇とともに増加した. (8) 動的粘弾性特性;tanδのα分散は20℃から190℃までは処理温度とともにやや高温度側にシフトしたが, 250℃処理試料は低温側にシフトバックした.
以上の結果から, 190℃以上の処理でポリエステルタイヤコードの強力が低下するのは, 高温加熱により, 結晶と結晶を結ぶ非晶部が著しく変化して強力に寄与する結合力が相対的に減少したためと推定した.

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