日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
極値統計理論による加硫ゴムのクリープ強さの解析
藪田 司郎
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1972 年 45 巻 7 号 p. 695-700

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抄録

加硫ゴムの一定公称応力下での破壊現象の解析に極値理論を適用し, 破壊時間の統計変動を記述することのできる理論分布関数を導いた.この分布関数は定速伸長下でのそれに時間効果を付加することによって得られるが, 破壊時間の対数値 log tb を確率変数とする第 3 漸近最小値分布;
Π (tb) =exp [- {log {(tb) / (tb)1} /log {(tb)2/ (tb)1}} ασ],
log (tb) ≧log (tb)1, log (tb)2>log (tb)1, ασ>0
で表わされる. ここに, log (tb)1, log (tb)2はともにロケーションパラメータで, それぞれ対数破壊時間最低値, 対数破壊時間特性値である.また, ασは無次元化されたスケールパラメータである.
実際の数値解析の結果によると, 対数破壊時間最低値の挙動は明確にとらえることができなかったが, 対数破壊時間特性値は初期に負荷する公称応力とともに線形関係で減少することがわかった.また, スケールパラメータはそれと無関係で不変な値をとることも明らかとなった.よって任意の系においてあらかじめこれらの関係を求めておくと, 任意の条件下でのクリープ破壊時間の統計変動が予測されるわけである.

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