肺癌
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縦隔原発悪性胚細胞性腫瘍10例の臨床的検討
小宮 武文高田 実梁 尚志松井 薫益田 典幸楠 洋子古武 彌宏安光 勉森野 英男菊井 正紀
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1995 年 35 巻 4 号 p. 387-392

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抄録

当院で経験した縦隔原発悪性胚細胞性腫瘍10例の臨床像を検討した. 性別は1例のみ女性で, ほとんどの症例で胸痛・咳嗽などの自覚症状を有した. 組織型はセミノーマ3例, 非セミノーマ7例で前者では腫瘍マーカーの上昇はみられなかったのに対し, 後者では全例AFPもしくはCEAが高値であった. 初回治療としてシスプラチンを含む多剤併用療法を5例に施行したがこのうち3例は後に開胸手術にて組織学的に腫瘍の消失を確認した. 手術を先行させた5例のうち4例でシスプラチンを含む化学療法を追加した. これらcombined modality treatmentにより現在10例中7例が12カ月から84カ月まで (中間値22カ月) のdisease freeとなった. 本症においては手術, 放射線, 化学療法を組み合せたcombined modality treatmentによりほとんどの症例で完全寛解が得られ長期生存する可能性が示された.

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