検診発見肺癌患者177名の特徴を同時期の他の発見動機患者537名と比較し検討した. 検診発見群は有意に若く, 女性が多く, 自覚症状が少なかった. 検診発見群のうち手術群118名は非手術群59名と比較して, 有意に若く, 自覚症状が少なかった. しかし, 性別, 喫煙歴, 呼吸器合併症, 前年度検診歴, XP異常所見の有無, 検診より当科受診までの日数に有意差はなかった. 検診発見群における手術適応に関する重回帰分析では, 年齢と自覚症状の有無が, 生存期間に関する多変量解析では, 自覚症状の有無, 年齢, XP異常所見の有無が有意に影響していた. 以上より自覚症状の有無が手術適応と予後に関与していた.
検診発見患者の39.5%が当科入院時すでに自覚症状を有しおり, このことが検診成績を不良にしていた. 自覚症状が持続するときには次回検診を待たずすみやかに医療機関を受診するよう啓蒙する必要がある.