肺癌
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薄壁空洞像を呈した肺腺癌の1例
森川 洋匡高橋 鮎子平井 隆山中 晃小西 二三男
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2004 年 44 巻 2 号 p. 119-122

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抄録

背景. 原発性肺癌のうち薄壁空洞像を呈するものは希である. 今回我々はCT上壁の一部に小結節を伴う薄壁空洞像を呈した肺腺癌を経験したので報告する. 症例. 51歳, 男性. 主訴は血痰. 気管支鏡検査で確定診断が得られなかったが, 壁の一部に充実性陰影がみられたため肺癌を疑い手術を施行した. 術中迅速細胞診で肺癌の診断が得られ, 左下葉切除術及び肺門縦隔リンパ節郭清術を施行した. 摘出標本では嚢胞状に拡張した気管支粘膜を置換性に増殖する高分化から中分化型乳頭状腺癌の所見が認められた. 郭清リンパ節のうち#12lに転移が認められたため病理病期はpTINIMO, Stage IIAであった. 術後25ヶ月再発の徴候はみられていない. 結論. 病理組織像では関与気管支と思われる気管支がみられ, check valve機構によって薄壁空洞が形成されたものと推測された. 充実性陰影を伴う薄壁空洞像の場合, 悪性疾患の可能性も否定できず, 胸腔鏡下生検等を含む積極的な検査が必要であると考えられた.

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