日本醸造協会誌
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ブータン産餅麹チャン・ポーにおける糖化菌の検討
アジアにおける穀類麹とその微生物に関する研究 (第2報)
内村 泰小島 陽一小崎 道雄
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キーワード: ブータン, チャンポー, 餅麹
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1990 年 85 巻 12 号 p. 881-887

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抄録

1. 構成微生物により次の3グループに分けられた。
A: Saccharomycopsis属酵母優勢型
B: Rhizopms属中心の糸状菌優勢型
C: 菌糸状酵母と糸状菌共存均衡型
これら3グループに分類されたチャン・ボーも希釈平板を行うことにより, 全試料中からSaccharomycopsis属酵母とRhizopus属中心の糸状菌が共存することが確認された。
2. 糸状菌優勢型の餅麹を用いて蒸煮米の糖化を行ってみたが, 他の餅麹試料を用いて糖化を行ったものに比べて非常に弱いものであった。
3.糸状菌およびチャン・ボーのアミラーゼ活性を試験した結果, 分離した15株の菌株のうち, アミラーゼを生産していたものはRhixopus sp.の5株とAspergillussp.1株の計6菌株のみであった。
他の菌株のアミラーゼ活性はきわめて弱かったことから, チャン・ボーより分離される糸状菌はそのすべてが必ずしもアミラーゼ生産に関与しているとは考えられず, チャン・ボーの主糖化菌はSacCharomycopsis fibuligeraであり, Rhizopus sp.や, 若干のASpergillus sp.などの糸状菌が, 補足的に糖化に関与しているものと考えられた。
以上のことから, これまで報告してきたSaccharomycopsis属酵母がアミラーゼ生産を行うの主糖化菌であることを支持する結果となった。
同行を許可された田部井淳子氏を隊長とするブータン遠征女子登山隊に感謝します。

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