日本大腸肛門病学会雑誌
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隠れた合併疾患発見の重要性と意義
升森 茂樹
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1985 年 38 巻 7 号 p. 772-776

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抄録

本院では,平均すると年間約9,000例余りの新患を取扱っているが,その診断治療方針を決定するに当り,患者の全身状態を把握するための臨床諸検査を行っている.すなわち問診,家族歴,血液生化学検査,さらに肛直指診,注腸X-P,内視鏡検査を十分に行使して,隠れた合併疾患を発見するように心がけている.過去2年間で主訴に現われなかった成人病には,高血圧(71),糖尿病(23),肝疾患(26)などがある.この他心不全(2),腎不全(1),肝硬変(3)などの注意すべき重症例が少数ながら見出されている.一方過去6年間の血液異常例は,初診時に診断された急性白血病(6),血液および生化学的一般検査からは見逃され術後出血から判った真性多血性(1)と血友病A(1),および腰椎麻酔時ショックによる鉄芽球性貧血(1)の9例である.また主要大腸疾患(650)には癌(285),腺腫性ポリープ(292)の577症例(88.7%)が主体を占めた.それは直腸鏡,注腸X-P,CFを駆使して発見された,これらの諸検査は,他の大腸疾患の発見にも通ずる必須かつ重要なものである.これらが肛門疾患取扱いの向後の課題でもある.

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