日本大腸肛門病学会雑誌
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治療方針から見た大腸早期癌の検討
斎藤 典男更科 広實布村 正夫中山 肇大森 敏生幸田 圭史滝田 伸浩斎藤 公男佐野 隆久下山 真彦豊沢 忠柳沢 真司小田 健司近藤 公一新藤 寛竹内 修花ケ崎 和夫中島 伸之
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1993 年 46 巻 2 号 p. 160-168

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抄録

大腸早期癌185例191病変を対象とし,臨床病理学的所見と治療方針について検討した.sm癌はsm浸潤度別にsm-slight癌(sm1)とsm-massive癌(sm2,sm3)に分類し,臨床病理学的特徴と治療方針について比較した.sm-massive癌では,sm-slight癌に比較し組織の分化度が有意に低く,脈管侵襲陽性の頻度も高かった.リンパ節転移は,sm-massive例にのみ認められた.sm-massive癌は転移・再発の高危険群であり,sm-slight癌はm癌に近い性質をもっていた.この結果より,sm-massive癌は最初から根治手術の適応であり,mおよびsm-slight癌では進歩の目覚い内裡鏡治療を主とした局所治療が初回治療の方針として妥当と考えられた.実際の治療において重要なことは,m・sm-slight癌とsm-massive癌を治療前に鑑別することであり,これには生検による腺腫成分の有無EUSおよび拡大内視鏡所見が有用と考えられた.

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