2003 年 106 巻 2 号 p. 156-159
本邦では初めての鼻腔から生じた疣状癌(Verrucous carcinoma)を経験した.症例は53歳男性で左鼻閉•左鼻腔腫瘤の自覚を主訴に受診した.左鼻腔より乳白色のポリーブ状の腫瘤が突出しており,画像にて左鼻腔から上顎洞に腫瘍を認めた.Denker手術にて鼻腔側壁と共に腫瘍を摘出した.疣状癌は悪性度の低い扁平上皮癌の一亜型であるが,扁平上皮癌が混在することがある(hybrid tumor).本症例は典型的なhybrid tumorであった.病理診断が困難な場合が多く,生検は大きく深部まで組織を摘出し,病理医との連携が重要である.