日本乳癌検診学会誌
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検診受診者全例に全乳房手動超音波検査を併用する乳癌検診の有用性について
土屋 十次永田 高康川越 肇立花 進梶間 敏彦星野 睦夫右納 隆下川 邦泰
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1997 年 6 巻 3 号 p. 299-308

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抄録

検診受診者全例に, 両側全乳房手動走査超音波検査を併用する乳癌検診で発見された乳癌症例 (以下, 集検例) 48例を集計し, 同時期に手術施行した自己発見外来受診乳癌症例 (以下, 外来例) 91例と比較検討した。
その結果, 外来例に比して集検例は病期I期症例が9l.7%と有意に多く (p<0.01), 閉経前症例の全例がI期症例で若年者症例において有意に早期症例が多く (p<0.05), 非触知乳癌症例が20.8%と有意に多く検出され (p<0.05), 5年・10年生存率とも外来例に比し有意に良好であった (p<0.05) 。低エコー小結節の超音波所見のみで検出された非触知乳癌は集検例の16.7%に見られ, そのうちの25.0%が非浸潤癌, 75.0%が浸潤癌であった。また, 集検例のうち初回受診例が43.7%に対し, 繰返し受診例は56.3%と多く検出されており, 超音波検査のみで検出された非触知乳癌についても, 初回受診例が9.5%に対して繰返し受診例では22.2%と多く発見されていた。II期以上の進行例の比率を見ると, 初回受診例では14.3%と高率であったが繰返し受診例では3.7%と低率であり, 早期のI期症例が多かった。初回受診例もさることながら, 繰返し受診例に対して両側全乳房手動走査超音波検査を併用した検診を毎年行うことが, より多くの早期乳癌を発見するうえで重要であると考える。

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