1998 年 7 巻 2 号 p. 215-221
近江八幡市において, 単独医が昭和57年12月から平成9年3月31日までの14年間に行ってきた視・触診法による乳癌検診の現況を述べる。延べ10,773人に検診を行い, 要精検者は937人 (8.7%), 精検受診者は884人で受診率は94.3%であった。検診発見乳癌数は17人で乳癌発見率は0.16%であった。一方, 著者は昭和57年10月に第1例の乳癌手術症例を経験してから, 平成9年3月31日までに185例の乳癌手術症例を経験したが, そのうち181例を外来発見乳癌として比較検討した。
検診発見乳癌は30歳代, 40歳代, 50歳代が82.4%を占め, 外来発見乳癌の同年代層60.8%に比べ, 若年者の割合が高い。検診発見乳癌はStage Iが60%, 外来発見乳癌はStageIが42%であり, またnO症例もそれぞれ75%と60.2%で, 検診発見乳癌は早期率が高かった。乳癌検診では若年者での癌発見が多く, また早期癌の発見が多いことから, 平均寿命からみても乳癌の予後改善に寄与できるものと考える。