1997 年 26 巻 2 号 p. 105-107
われわれは下肢静脈瘤の術前検査として全例にカラードプラ法を施行している. 今回本法によって発見され, 手術にて確認された大腿動静脈逆位を伴った下肢静脈瘤の1例を経験したので報告する. 症例は69歳女性. 30年来の両下肢静脈瘤で難治性下腿潰瘍および欝滞性皮膚炎を合併していた. カラードプラ法を施行したところ左鼠蹊部にて大腿静脈が大腿動脈の外側に存在しており, 大伏在静脈は大腿動脈を乗り越えるようにして内側から大腿静脈に合流していて, 手術時にも同様の所見を確認した. このような異常は本邦で過去に報告例はなく極めて稀と思われた.