日本心臓血管外科学会雑誌
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体外循環における抗サイトカイン療法の臨床的検討
軽部 義久小菅 宇之山崎 一也坂本 哲浦中 康子市川 由紀夫安達 隆二相馬 民太郎
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1999 年 28 巻 3 号 p. 151-157

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抄録

体外循環におけるウリナスタチンの抗炎症性サイトカイン効果と臓器障害軽減効果を検討した. 冠状動脈バイパス術施行33例をウリナスタチン投与群 (UTI群, n=16) と非投与群 (Control 群, n=17) に分け比較した. 術中術後にインターロイキン6 (IL-6)・8(IL-8), 顆粒球エラスターゼ(PMNE) を測定した. また肝臓 (GOT, GPT, T-Bil), 腎臓 (BUN, Cr), 肺 (PaO2/FIO2) の術後機能障害を検討した. 大動脈遮断解除5分後IL-8 (25.5±12.8pg/dl vs. 47.8±38.9pg/dl), 経過中最高IL-8 (28.6±13.2pg/dl vs. 58.4±40.0pg/dl), 術後BUN, Crが Control 群に比べてUTI群で有意に低値を示した (p<0.05). IL-8, PMNEがBUN, Crと正の相関, IL-8とPaO2/FIO2が負の相関を認めた. ウリナスタチンの抗IL-8効果とIL-8, PMNEの抑制による術後腎臓, 肺機能障害予防の可能性が示唆された.

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