日本心臓血管外科学会雑誌
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左右2本の垂直静脈を有する下心臓型総肺静脈還流異常症の1例
国井 佳文小出 昌秋鮎澤 慶一
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2004 年 33 巻 3 号 p. 175-177

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抄録

症例は日齢1日,体重2,254gの男児.下心臓型総肺静脈還流異常症の診断で手術を行った.垂直静脈を切離し左房に吻合,体外循環からの離脱を試みたが不可能であった.肺静脈還流を再度検索すると,左胸腔と心嚢の間を走行し横隔膜を貫く2本目の垂直静脈(左垂直静脈)を確認,これを左心耳基部に吻合し,体外循環から離脱した.術翌日,呼吸状態悪化のためECMOを開始したが,脳室内出血のため術後5日に失った.剖検では右垂直静脈は下大静脈へ,左垂直静脈は肝静脈と静脈管の合流部付近へ還流していた.肺の病理組織所見では高度に拡張したリンパ管を認め,呼吸不全の原因と考えられた.本症例のように2本の垂直静脈が存在する下心臓型総肺静脈還流異常症はきわめて希ではあるが,その形態について留意する必要があると思われた.

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