2007 年 36 巻 3 号 p. 132-136
症例は69歳,女性.コントロール困難な高血圧の診断で当院紹介となった.血管造影では胸部下行大動脈から腎動脈分岐部直下まで,びまん性に大動脈狭窄を認め,血液検査ではレニン活性が高値であったことから腎血流低下に伴う高血圧と考えられた.精査により異型大動脈縮窄症と診断された.高血圧に加え,間歇性跛行もあることから血行再建術の適応と判断され当科入院となった.腎血流と下肢血流の改善を目的とし,上行-腹部大動脈バイパスを選択した.胸部は胸骨正中切開により,腹部は胸部正中切開線を臍上部まで延長しアプローチした.術後,良好な血圧コントロールが得られた.また,間歇性跛行,上下肢血圧比・血清レニン活性も改善し,術後合併症は認められず経過は良好であった.今後,仮性動脈瘤形成などの合併症に注意し,厳重な経過観察が必要と考えられる.