てんかん研究
Online ISSN : 1347-5509
Print ISSN : 0912-0890
ISSN-L : 0912-0890
健常者における抗てんかん薬 (フェニトインとバルプロ酸ナトリウム) の認知機能に及ぼす影響
事象関連電位を用いて
赤穂 理絵市川 郁夫鈴木 聖道中込 和幸渡辺 洋文菅野 道風祭 元
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 9 巻 1 号 p. 33-40

詳細
抄録

事象関連電位 (ERP) のうちN1, P3成分を利用してバルプロ酸 (VPA) とフェニトイン (PHT) の認知機能に及ぼす影響を調べた。VPA群, PHT群各12名の健常者で, VPA800mg/日, PHT200mg/日あるいはプラセボを7日間服用後, odd-ball課題を用いて難易度の異なる3条件で検査を施行した。また, ウェクスラー記銘力検査 (WMS-R) を併用した。
VPA群, PHT群ともに課題遂行成績, 正反応時間, N1潜時・振幅, P3潜時・振幅およびWMS-Rに有意な影響は認められなかった。しかしPHT血中濃度上位群 (平均6.1μg/ml) ではN1振幅が有意に減弱した。
今回の結果からVPAは認知機能に影響を及ぼさないが, PHTは注意機能に影響を及ぼすと考えられる。

著者関連情報
© 日本てんかん学会
前の記事 次の記事
feedback
Top